インフルエンザやコロナウイルス肺炎などが流行っていることもあり、参加人数が危ぶまれておりましたが、当日は70名を超える方が集まり無事開催することができました。
今年度の交流会は2つのことにチャレンジしました。
①WEB配信による全国からの視聴参加
当日はWEB配信も行いました。宮城県、石川県、岡山県、鳥取県など当日会場にお越しになれなかった方々が、WEBから視聴参加されました。
②sli.doによる講演中の質問・意見投稿と共有
当日は、かなりプログラムを詰め込んでいたこと、更にWEB配信で会場外からも参加者がいることなどから、いつでもどこからでも質問や感想が発信できるツールとして「sli.do(スライドゥー)」を使い、報告用資料のスクリーンとは別に、sli.do用のスクリーンによる2画面制とすることで、講演を聞きながら他の方の投稿内容を見て、共感や更に理解を深めることができました。
開催内容は以下のとおり。
主催の日本生活協同組合連合会より、子どもの未来アクションの取り組み状況報告を行いました。
全国に広がる子どもの未来アンバサダーの中から、3名のアンバサダーに活動事例報告をいただきました。
①NPO法人山口せわやきネットワーク こども明日花プロジェクト ソーシャルワーカー 杉山美羽さん
山口県内で子ども食堂の拡大推進を山口県の委託を受けて取り組んでいらっしゃる杉山さん。
子ども食堂を地域で「子どもを見守る場」と定義し、多くのステークホルダーと連携しながら、「時間・空間・仲間・手間・世間」の5つの「間」(ゴマ)を意識した居場所づくりを推進されています。
実は2019年のアンバサダー講習会の講師にもなっていただいた杉山さん。アンバサダーとして学びの対象者やご自身の手掛ける学習会(学びの場)での資料アイデアをご紹介いただき、その中でアンバサダーとしての役割に言及していただきました。
※「山口の上沼恵美子」の自己紹介で笑いを誘い、和やかな雰囲気を作ってくださりました♪
※NPO法人山口せわやきネットワーク(Facebookページ)はコチラ
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②生活協同組合ララコープ 会長 井手こずえさん
生協のアンバサダー代表として、長崎県のララコープより井手さんにご登壇いただきました。
ララコープでは、「学び~フードドライブ~子ども食堂支援」という「学び⇒実践」のシナリオをしっかりと描き取り組まれました。
店舗のフードドライブでは、寄贈商品をカードで選択して店内レジで購入し、後日商品はララコープを通して納品される仕組みで実施されています。持ち寄った食品の管理リスク・負荷などをふまえて、まずは店内購入したものの寄贈という形は、まずはやってみる場合に運用ハードルが下がり取り組みやすい形でした。一方でカード使った流れなどは来店された方に丁寧にご説明することで、良いコミュニケーションにもなったそうです。
※生活協同組合ララコープ(HP)はコチラ
③埼玉県少子政策課 企画幹 内田貴之さん
こども応援ネットワーク埼玉のFacebookページで、「企画幹の内田です。」から始まる文章にファンの方もいらっしゃる埼玉県職員の内田さん。
埼玉県では県内に子どもの居場所づくりを進めておられ、目標800か所(県内の小学校区域)を目指し、昨年8月時点で213か所(2年前から約3倍)まで広がっています。埼玉県ではこの居場所づくり(こども応援ネットワーク埼玉)のPJを推進する際に、子どもの未来アクションと連携し、子どもの未来アクション学習テキストの埼玉県版を制作し、県内の様々な学びの取り組みに活用された事例をご紹介いただきました。
県内のお坊さんの研修会で学習会を開催したり、避けられがちな葬祭ホールの空き時間を活用した子ども食堂の事例など様々な学びや実践事例をご紹介いただきました。特にママさんバレーの大会を「こども食堂応援カップ」と命名して集まったママさんバレー選手に向けてフードドライブを行い、ユニフォーム姿のママさん達が体育座りしながら学習するユニークな事例もあり、埼玉県の「誰もが子ども支援に参加できる」工夫が随所にみられるご報告でした。
※こども応援ネットワーク埼玉(Facebookページ)はコチラ
子どもの貧困対策に関する有識者会議の構成員も担われている末冨先生には、第2期子どもの貧困対策に関する大綱の到達点と課題を、膨大な調査データを基に解説いただきました。
第2期大綱では、「将来」だけの対策ではなく、「現在」の対策について明記されたことや、市町村での貧困対策の努力義務化により国~都道府県~基礎自治体による「切れ目のない支援」に向けた動きがでてきたことなどが進みました。一方で、貧困の形の多様化について語られました。ただ経済的貧困(低所得者層)だけの問題ではなくなってきていることや、乳幼児世代では所得再分配後に貧困率が若干悪化しており、乳幼児への支援が不足している実態など様々な切り口から語っていただきました。参加者からは「現状の問題点がとてもよく分かった」「非常に刺激を受けた」といった声が沢山上がりました。
【コーディネーター】
NPO法人新座子育てネットワーク代表 坂本純子さん
【パネリスト】
①NPO法人こどもソーシャルワークセンター理事長 幸重忠孝さん
②公益財団法人あすのば理事 東岡伶弥さん
③NPO法人山口せわやきネットワーク こども明日花プロジェクト ソーシャルワーカー 杉山美羽さん
④生活協同組合ララコープ 会長 井手こずえさん
パネルディスカッションでは、アンバサダーの活動事例報告や末冨先生の基調講演での問題提起をふまえ、子どもの貧困の実態とそこに関わる大人たちの支援の在り方、またその支援にあたり子どもの未来アクションの学びの取り組みの関わり方や必要性を語り合っていただきました。
パネリストからは子どもの貧困の実態をストレートに語っていただきました。そのお話を受けた杉山さんからの発言で「知ってしまったからには大人として何かをしないといけない、やれることをやらないといけない」という言葉が非常に印象的でした。参加された皆さんからも「知ることの必要性、そして知ったからには行動しなければと感じた」といったお声を沢山いただきました。
※重く難しいテーマですが、コーディネーターいただいた坂本さんのおかげで、皆さんにも笑顔もチラリ。
子どもの未来アクションは2018年から赤い羽根福祉基金の助成をいただき取り組んでいる3か年のプロジェクトで、2020年はその最終年度になります。
様々な支援の形があるなかで、『「知ること」を広げる』支援というのは、重要でありながらあまり例はなく、今回の交流会を通して、改めて「知ること」の重要性を感じ、子どもの未来アクションの価値を考える機会となりました。
今回参加できた方だけではなく、更に多くの方にこの『見えない子どもの貧困』について「知ってもらう」ためにも、学びの取り組みである「子どもの未来アクション」を知っていただきたい。
杉山さんのような地域の活動団体と、
内田さんのような地元行政・自治体と、
井手さんのような各地の生協と、
「子どもの貧困対策」という共通の目的において、それぞれの取り組みに子どもの未来アクションが関われたように、今後は更に全国の方々と繋がりを作っていきたいと思いました。
ぜひ、貧困をはじめとする子どもの問題に関心のある方は、子どもの未来アンバサダーにご登録いただき、一緒に学びの取り組みを広げていっていただけると幸いです。
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